リファラル採用という言葉を耳にしました。
いったい何のことなんですか?
人材派遣会社とはいえ採用担当者を20年近くやっています。
基礎的なことをベースにお伝えしますので、参考にしていただければと思います。
・メリット・デメリット
・運用における注意点
とくにリファラル採用のメリット・デメリットについて、くわしく説明させていただきます。
採用の実務に携わっていると、しばしば新しい用語に出会う機会が多いです。
新しく作られた造語だったり、実は今まで存在していたのだけど自分が知らなかっただけだったり、いろいろありますが、どんな業界・業種でもやはり定期的に勉強は必要だと痛感します。
本日は、「リファラル採用」という用語について記事を書かせていただきます。
リファラル採用について
結論から言えば、「人から紹介をしてもらった人を採用すること」がリファラル採用の定義です。
その人の友人であったり、家族といった一次的なつながりだけでなく、広く言えば友人の友人、家族の友人といった二次的なつながりも含まれます。
リファラル採用の「リファラル」は英語で表記すると、「referral」です。
GoogleAnalyticsやサイトの分析をするときに、よく出てくるキーワードですので、聞いたことのある人は多いはず。
大事な定義ですので繰り返します。人から紹介や推薦をもらって採用をすることが「リファラル採用」です。
「縁故採用」
リファラル採用とよく似たワードに「縁故採用(コネ採用)」というものがあります。
コネ=コネクション(connection)の俗称で、コネ採用という場合は、どちらかというとマイナスイメージや冷ややかなイメージが先行することの方が多いです。
縁故採用とリファラル採用との違いは、大きく3点あります。
- 紹介をしてくれる人の社会的地位、その人の会社に対する影響力の強さ
- 紹介をしてくれる人と紹介をされる人に血縁関係がある
- 入社試験を実施しない、したとしても形式的なもので終わる
- 採用・不採用の結果
縁故採用(コネ採用) | リファラル採用 | |
会社への影響力 紹介者の社会的地位 | 強い・高い傾向 | 強いとは言えない ふつう~弱い傾向 |
血縁関係の有無 (紹介者と入社者の関係) | ある | ある・ない どちらもあり |
入社試験の実施 | 実施しないことが多い 仮に実施したとしても形式的 | きちんと実施することが多い |
採否結果 | 基本的には採用 (不採用となることはまずない) | 不採用となることもある |
・取引先の役員がその親族(子どもが多い)を紹介する
・事前に採用が決まっているとしても、建前として形骸的に面接試験を行う、面談という形で面接が終わる
・入社時から既存社員とは待遇が異なる(給料・役職などが恵まれている)
縁故採用の場合、人物の評価に関わらず最終的には採用にしてしまうというイメージが強く持たれています。
「リファラル採用」の特徴
縁故採用に見られるような縛りがほとんどないのがリファラル採用です。
特徴は2点です。
- 一般職からの紹介がメインとなる
- 入社に至ると「紹介料」が支払われるケースが多い(支払い条件や内容は会社によって異なる)
会社によって、定義や取り扱いは異なります。紹介料として支払われる金額についても違いがあるのが実態です。
リファラル採用と縁故採用の明確な線引きは難しいですが、「会社への影響力」と「血縁関係」をベースに考えるとより分かりやすいです。
リファラル採用のメリット・デメリット
リファラル採用のメリット・デメリットについて考えてみます。
メリット
- 採用選考の各フローでの離脱(入社辞退・退職)を抑えることができる
- 求人メディアに掲載する金額よりも安い経費で確実に採用に結び付けることができる
- 入社後の勤怠・仕事に対する姿勢で難点を抱える社員は少ない傾向にある
- (新入社員から見て)知人が身近にいるので仕事上の悩み相談ができ、定着に期待ができる
デメリット
- 社員満足度が低い会社だと紹介すらしてもらえない
- 紹介料の大小で成果(紹介数・入社数)が変わることが多々ある
- 紹介料目当ての(実にならない)紹介が増えてしまう可能性がある
- 金銭が動くので不正行為に繋がってしまう恐れがある
- 期間限定のリファラル採用だと期間終了後に紹介がもらえなくなる(紹介数の減少)
- 紹介料や紹介数によっては税法・職業安定法上に抵触する可能性が出てくる
- 入社した人が退職してしまうと紹介者が気まずくなってしまう
一般的に言われていること、リファラル採用を実際に導入して経験したことを列挙しました。
【本記事のまとめ】リファラル採用は一度は取り入れて運用してみることをおすすめします
高い広告経費を支払って求人募集をしたところで、採用できない・応募獲得すらできないことはよくあるもの。
とくに小規模の事業会社においては、求人募集にかかる経費の捻出もとても大変なことです。
採用が難しい職種だったり状況にある場合、採用手法のなかでリファラル採用が成功へのいちばんの近道であることも多いです。
定期的にリファラル採用を行いたいなら、やはり社員同士の人間関係や、社員から見た会社に対する評価が良くなければいけません。
それだけ会社側としても環境整備や待遇などの改善が必要になるということです。
改善に取り組むための1つのきっかけとして、リファラル採用を使うこともできます。
どんな採用手法であっても、かならずメリット・デメリットはあるものです。
導入したことのない採用担当者は、ぜひ前向きに捉えてみた方がいいでしょう。1人あたりの採用単価が上昇している状況の場合は特に効果を発揮してくれます。
・メリット・デメリット
・運用における注意点
・リファラル採用と縁故採用(コネ採用)は似ているものの、細かいところを見ると実際は異なる
・最大のメリットは離脱防止(定着の高さ)、採用単価の低減
・最大のデメリットは社員満足度や紹介料の大小によって成果が変動すること
・メリット・デメリットをきちんと理解したうえで運用すること
本日は以上です。