リファラル採用で報酬を支払ったり受け取ったりすることは違法なの?

うちの会社でもリファラル採用を少しだけ取り入れたいと思っています。
ところでほかの会社って報酬をいくら払っているんだろう?

たくさんもらえるならぜひ紹介したいですね。

リファラル採用はうちの会社でも定期的におこなっています。
実は注意点もありますので、少しアドバイスさせていただきますね。

本記事の内容
・リファラル採用の報酬について
・運用における注意点

採用手法の知識はいろいろ知っているけれど、細かいところまで詳しく知らない、運用をしたことがないという採用担当者の方も多いかもしれません。

本日はリファラル採用の「報酬」の面で解説させていただきます。

本日のテーマも同様ですが、法律に関わることの場合、きちんと線引きができないことが多いです。

ここまでは合法だけど、ここからは違法と明確に分けることは難しいとされています。

なぜかというと、法律は解釈論的なところもあり、判断する人や機関によって考えが変わるから。

そのため、定番とされているところをお伝えします。

【前提】合法なのか違法なのかの法律解釈が難しいとされる理由

法律はきちんと条文によって明示されています。その条文に抵触してしまうと受ける罰則が明記されています。

例えば、刑法252条には次のように規定されています。

自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。

刑法252条(横領罪)

ただ、すべての法律に罰則があるわけではなく、罰則のないものもあります。

何人も、公共の福祉に反しない限り、職業を自由に選択することができる。

職業安定法2条(職業選択の自由)

とは言っても、どこかに罰則が規定されていたりしますので、違反すれば何らかの形で罰を受ける結果となることが多いです。

最終的に罰を受けるか、またどれくらいの罰を受けるのかは、法律の解釈をする機関や権限者によって微妙に変わるのです。

裁判も同じです。担当する裁判官によって量刑や判決は微妙にズレが生じてしまうのです。

リファラル採用とは?

リファラル採用とはかんたんに言えば、紹介をしてくれた人の採用をすすめる手法のことです。

リファラル採用のメリット&デメリットについて

そして、このリファラル採用は成果を出そうと思った場合にある程度の紹介料の支払いが必要となります。

とくに採用予定数がある程度の数に至る場合などはなおさらです。支払いをした方が、紹介する側も本腰を入れてくれるからです。

最終的には、紹介料の支払いが採用数と採用する人のレベルなどに影響を与えるからです。

紹介料の支払いについての問題点

問題になると思われる事例

紹介料を支払うことで問題に発展してしまうおそれがあります。

注意が必要だと考えられるケース
・1件あたりの紹介料が高額である場合
・1人が受ける紹介料の合計額が高額である場合
・1人が受ける紹介料が長期間に渡る場合

ポイントはいくつかありますが、法律との兼ね合いとしては以下のとおりです。

事例抵触する恐れのある法律
社員に対して紹介料を支払う場合は給料の一部であり、所得税の課税対象とされる所得税法
社員に対して給与の一部として支払われた場合は消費税はかからない消費税法
社外の人に紹介料を支払う場合は消費税がかかる可能性がある消費税法
1年で一定の金額を超える場合は確定申告が必要となる場合がある所得税法
長期的に紹介し、紹介料を受領し続ける場合は事業とみなされる場合がある職業安定法
1人あたりの紹介料が高額である場合も事業とみなされる場合がある職業安定法

問題になると思われる金額

金銭が動く場合は、いろいろな問題に発展する可能性があるので注意すべきです。

ただ、具体的な金額などについては当然、どこにも明記されていません。

つまり、どこからが法的にアウトなのか、セーフなのかの線引きが誰にもできないのです。

「これ以上はたぶんアウトだと思われる」といった見解しか持てないのです。

ただ、ある程度の線引きとして、次のようなものが挙げられるのではないでしょうか。

紹介料の具体的金額(例)理由
20万円年末調整をしない場合に確定申告が必要となる金額
103万円103万円以下は所得税の課税対象外となる
紹介者の年収の30%人材紹介における手数料の相場とされている金額

もちろん職種にもよるところはあるかと思います。世間的な採用単価の相場も加味して、

  • 一般的な職種の場合、1件当たりの紹介料は5~10万円くらいであればセーフだと思われます
  • エンジニア系の場合、20~30万円くらいであればセーフだと思われます

あくまでも採用担当者としての見解ですので、十分注意して運用すべきです。

【本記事のまとめ】リファラル採用の報酬は金額によっては法的に問題となるケースがある

リファラル採用の際に社員に支払う紹介料として、あまり高額だと法律上問題となるケースがあります。

ただし、金額としては明確な線引きがありません。

運用をする際は問題にならない程度の金額設定が必要となります。

本記事の内容(もう一度)
・リファラル採用の報酬について
・運用における注意点
本記事のまとめ
✅リファラル採用において支払われる報酬(紹介料)は金額に注意すべき
✅違法かどうかの明確な線引きはされていない
✅金額だけでなく、紹介者が紹介料を受け取る期間にも注意が必要

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