公正採用選考人権啓発推進員の選任と届出は今のところ努力義務

この記事の内容
 ・公正採用先行人権啓発推進員って何をする人なの?
 ・どういった人がなれるの?
 ・届出などの諸手続きは必要なの?

採用に関するもので、「公正採用選考人権啓発推進員」という制度があります。

「こうせい/さいようせんこう/じんけんけいはつ/すいしんいん」と息継ぎのポイントが分からなくなるほど無駄に長い職名です。

本日はこの制度について記事に書かせていただきます。

公正採用選考人権啓発推進員について

漢字の表記からだいたい想像がつくはずです。

  • 公正な採用選考を実施する制度をつくる人
  • 人権問題の啓発を行っていき、差別的な取り扱いが起きないように取り組む人

こうした想像をされる人が多いのではないでしょうか。

実際にきちんとしたソースを見てみます。

職業安定機関では、職業選択の自由を保障し、すべての人々の就職の機会均等が保障されるよう、事業主を始めとする雇用する側の皆さまに、人権問題を正しく認識していただき、応募者の適性と能力のみに基づく公正な採用選考の実施についてお願いしています。

本制度では、一定規模以上の事業所において、「公正採用選考人権啓発推進員(以下、「推進員」という。)」を設置いただき、この「推進員」に対し職業安定機関からの継続的な指導啓発を行うことにより、事業所の公正な採用選考システムの確立を図っていただくことを目的としています。

引用 愛知労働局

読み進めると、「公正な採用選考の実施」にのみターゲットが置かれています。

こうしたこともあって、人事採用の方が推進員として活動されているケースも多いかと思います。

推進員としての役割も記載されています。

「推進員」は、就職の機会均等を確保するという視点に立って、次の事項について、中心的な役割を担っていただきます。

公正採用選考システムの確立を図ること。

職業安定機関との連携に関すること。

●その他、当該事業所において必要とする対策の樹立及び推進に関すること。

職業安定機関等が実施する各種研修会に積極的に参加いただく等自己啓発を図り、不適切事象の未然防止に努めてください。

引用 愛知労働局

推進員の設置

まず、設置対象となる事業所の条件があります。

・常時使用する従業員の数が30人以上の事業所
・職業紹介事業、労働者派遣事業を行う事業所

職業紹介・派遣を事業とする会社であれば、従業員数に関係なく設置対象となります。

選任や変更の届け出は選任状況報告書を作成して届け出を行いますが、提出先が事業所によって少し異なります。

届出先
・職業紹介事業、労働者派遣事業を行う事業所は労働局需給調整事業部へ
・それ以外の事業所は公共職業安定所(ハローワーク)へ

届け出のフォーマットは次の書式です。

引用 愛知労働局

推進員の選任は義務なのか

ここに関してははっきり書かれていません。

推進員の選任について法律の条文根拠が見当たらないですし、労働局のサイトにも書いてあるりません。

おそらく義務ではなく努力義務的なものと思われます。

「推進員」の設置対象事業所で、設置がされていない場合は、早急に設置をお願いします。

引用 愛知労働局

提出先がハローワークとなっていることも努力義務ではないかと思われる根拠です。

労働基準監督署に対する届け出は義務化されているものばかりです。

就業規則、労使協定、衛生管理者の選任など届け出をしないことが法律違反となります。

監督署は取締りの権限を持っていますが、ハローワークにはそこまでの権限がありません。

1つの目安にしていただければと思います。

オンラインでの受講は2021年でラスト

コロナウイルスの感染防止のため、オンラインで受講も可能としています。

2022年以降の開催については、お住まいの各都道府県の労働局や管轄のハローワークに確認してください。

引用 愛知労働局

【まとめ】公正な採用選考への取り組みは大切

公正採用選考人権啓発推進員を選任したからそれで終わりではありません。

採用に関わる人だけではなく、会社全体で「公正な採用選考」に対する理解と制度の構築が大切です。

また、義務化されていないから届け出は急がなくていい、届け出しなくてもいいということでもありません。

社内でも勉強会や制度の構築に努めていきたいものです。

取り組んでいくべきことはたくさんあります。

本記事まとめ
 ・従業員が30人以上の事業所、および人材派遣・職業紹介の事業を行う事業所は推進員の設置が必要
 ・会社全体で公正な採用選考に対する取り組みをすることが大切
 ・推進員の設置についての届出には法律の根拠条文がない(努力義務の可能性が高い)

本日は以上です。

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