面接試験でタブーな質問をしてくるなら早急に見直すべき

面接試験は会社が候補者を選ぶのです。
だから、どんな質問にも答えてもらうべきですよね?

アドバイスさせていただきます。

この記事の内容
 ・採用の自由ってなんなの?
 ・面接試験は何を聞いてもいいものなの?
 ・採用選考の場はやっぱり会社の方が強いの?
 ・答えられない質問があったら不採用にしてもいいの?
 ・面接をする側からの面接試験のポイントはあるの?

厚生労働省が主催するイベントや企業法務でもよく取り上げられるのが面接試験についてです。

とくに面接試験の質問の内容が問題となるケースが多いです。

会社の採用担当者レベルでは(法的に)「良い」「悪い」ははっきり判断できませんが、グレーゾーンを含めて書かせて頂きます。

参考程度にお読みください。

「採用の自由」について

会社側のスタンスで一方的に書けば、「採用の自由」というものが会社側にはあります。

採用する人を自由に選ぶことのできる会社側の権利です。

言い方は極端になりますが、こういった例を考えてもらえればいいかと思います。

活躍して欲しいキャリア歴に長けたAさんと、未経験のBさんが同時に面接試験を受けに来て、即戦力となるAさんを採用するのは採用の自由。また、あえて未経験のBさんを採用して伸びしろに期待するのも採用の自由。
人材不足に対して、新卒採用で充足するのも採用の自由。中途キャリア採用で充足するのも採用の自由。
面接試験を実施して、どうしても1点だけ会社の方針に沿わない候補者を採用にするのも採用の自由。また、不採用の判定をするのも採用の自由。

採用の自由にはいろいろな内容があると言えますが、今回は面接試験についての「採用の自由」についてです。

面接における採用・不採用を決める判断基準は、会社によって異なります。

その内容は組織内部の問題であって、外部から口出しできるものではありません。

口出しができることで逆に公正な採用選考が損なわれてしまうこともあり得るからです。

だからと言って、会社側が何をしてもいい、どんなことをして応募者を選んでもいいという訳でもありません。

一定の制限は少なからずあります。

応募者に対して質問してはいけない事項を設定することで一定の制限をかけているのです

こういった問題があると職業選択の自由を引き合いに出す人が必ずいます。

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

日本国憲法 第22条
憲法は直接的に私人間に対して適用しないという通説の法解釈があります

少し分かりにくいので、別の言い方にかえます。

「私人間」は「しじんかん」と読み、「私人の間」を意味します。

国家とか公人とは逆の「私人」です。

憲法は、「基本的には」国家と私人(国民)の間に定められた法律です。

だから、私人と私人の間の法律ではない、私人間には適用しない法律だと言われるのです。

職業選択の自由は、国家が国民への弾圧によって職業を制限したことがあるという過去の悲惨な歴史に基づいています。

そのため、会社が採用の自由によって人を選ぶことが職業選択の自由を害していることとは同義ではないのです。

ポイント
会社も国と同様の扱いをしてもいいのではないかという争点があります。
会社の規模によって判断が分かれるところです。

ある程度、大きな規模の会社に対して、憲法を適用したケースはあります。

採用の自由に対する権利があったとしても、相手の権利を大きく侵害することは許されません。

そういう観点で2つの権利関係を見てみることも大切です。

応募者に質問してはいけない内容

応募者に対して質問していけない内容は厚生労働省が例示しています。

この質問をすると法律違反ということではなく、就職差別に繋がるおそれがあると考えれば分かりやすいです。

厚生労働省のリーフレットには、項目ごとに分けられています。

(厚労省のリーフレットはこちら

・本籍・出生地に関すること
・家族に関すること
・住宅状況に関すること
・生活環境・家庭環境などに関すること
・宗教に関すること
・支持政党に関することの把握
・人生観・生活信条などに関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書

人生観や尊敬する人物、愛読書などは以前であればふつうに聞かれていた内容です。

応募者に質問をしてはいけない理由

結論から言えば、就職差別に該当する可能性があるからです。

応募者の適性や能力と関係のないことを質問することはいけませんという内容です。

項目の内容によっては、この質問がなぜ就職差別に繋がるのだろうというものも含まれているのは確かです。

その質問からいろいろ紐解いていけば、最終的には就職差別に繋がってしまうかもしれないからと考えておくのがベストです。

具体例はすべて「就職差別に該当するおそれ」であって、「就職差別になる」とは書かれていません。

こういう質問はアウト、アウトな理由については大阪労働局のサイトに詳しく書かれていますので、お時間のある方はお読みください。

(大阪労働局のサイトはこちら

【まとめ】アウトな質問をすることで生じるデメリットはかなり大きい

面接のときに「質問」として聞かなかったとしても、面接前後の雑談でそういったことに触れるのもアウトです。

だからこそ、面接票は会社で定型のものを用意すること、面接官に対する教育も必要です。

いろいろな場面で研修会や勉強会を行うだけでなく、公正なチェック体制も必要です。

「この質問は違法」という線引きがなく難しい問題ですが、面接に携わる方は気を付けておくべき問題です。

そういった質問を平然としてしまうことが、会社の風評被害に繋がりかねません。

そのせいで採用が難しくなってしまうことも十分あり得ます。

とくに最近は、SNSなどでマイナスの評価は拡散されがちなので気を付けましょう。

本記事のまとめ
 ・面接のときには質問してはいけない内容がある
 ・質問してはいけない内容は本人の適性や能力の会社判断に関係のないこと
 ・会社には採用の自由があるが、何をしてもいいという訳ではない
 ・職業選択の自由は会社ではなく、国が守らなければならない項目
 ・質問してはいけない内容聞いたから違法というものでもない
 ・してはいけない質問をすることで会社の評価、風評被害につながる
 ・面接時は定型の面接票を使うことが大切
 ・面接官に対する教育指導、定期的な監督・チェックも必要

本日は以上です。

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